愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
「……勇斗?」

 どこに行ってしまったんだろう?

 携帯の電源まで切って。

 まさか、演劇の練習をサボって、もうロールケーキを買いに行ったんじゃ……?

 そう考えて、真珠は首を振った。

 いくら勇斗が我がままでも、この合宿中にそこまで勝手なコトをする奴じゃない、と真珠は思い返す。

 でも、早くなんとか見つけないと、また、勇斗の信用が落ちる。

 これだから、良い所の坊ちゃんは、いい加減で使えないなんて。

 嫌味を言われてしまうに違いない。

 特に、仲の悪い、海野凪辺りに。

「もう!
 勇斗ったら! あなた一体どこに!」

 そんなコト。

 繋がらない携帯に向かって言っても無駄だとは、思うけど!

『ただ今おかけになった電話番号は、電波が届かないところか……』なんて、もう。

 五回も聞けば十分だった。

 勇斗の事は好きだけど、こんなときは嫌いだ。

 せめて。どこに行くかくらいは、言っておいてくれたっていいのに!

 真珠が、そう深々とため息をついて、勇斗を探しに行こうとした、その時だった。
 
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