愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 手に日本刀を持った凪が、近づいて来る。

 今一番会いたくない人が来たのを見て、真珠はごまかすように首をかしげた。

「……その刀どうしたの?
 劇の小道具……?」

「まさか、違うよ。
 だけど、俺の私物(モノ)」

 ……それは、そうだろう。

 たしか、凪の役は、青い髪の魔法使いのはずだったし、そもそも、劇は、西洋が舞台だ。

 あまりに場違いな刀だったけれど、真珠は、この刀に見覚えがあるような気がした。

 そして、刀がまとう、独特の雰囲気……というか。

 生臭い臭いにも。

 どこで、見たんだろう?

 どうしても思い出せずに、真珠が首をかしげると、今度は凪の方が話しかけた。

「……真珠は、草薙勇斗を探してるんだろう?」

「う……うん。そうだけど……」

 ……全然見つからなくて……なんて言ったら、また勇斗と海野君は、喧嘩になるかな?

 言葉を選びながら曖昧にうなづく真珠に凪は、ふ……と笑った。

「草薙なら、図書館に行ったよ?」

「なんで! こんな忙しい舞台稽古の直前に、わざわざ……!
 せめて、練習が終わってから行けばいいのに」

 こんなんじゃ、合宿の意味ないじゃない!

 そう叫ぶ真珠に、凪が笑った。

  

 
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