ナツメ
「食べないの?」

目の前にナツメが作ってくれたチャーハンと野菜スープがある。

見るからに美味しそうだ。
きっと美味しいんだろう。

でも、わたしはスプーンを手に持ったまま、それらを掬うことができないでいる。

食べたくない。
食欲がない。

彼と別れてからずっとこうだ。

食事は拷問だった。
死にたい。
でも死ねない。

生きていく為には食べなくてはいけない。
食べるという行為は、そのまま生きることに直結する。

だから死にたいのに生きなくてはいけないわたしにとって、それは拷問。

身体はなにも欲しがらない。
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