ナツメ
せっかく作ってくれたのに食べなくちゃ悪いなと、そう思いながらも手は動かない。

「しようのない子だなァ」

ナツメが自分のスプーンを置いた。

立ち上がり自分の椅子を引き摺って、わたしの横へとやってくる。

「君は俺のペットだよね? ね?」

ペット。
飼われているんだからそうなんだろう。
頷く。

「じゃあ食べないとね。俺が心配するだろう?」

ビックリした。
心配? わたし、ナツメに心配されているのか。

心配という言葉が、胸の奥底に沈んでいく。

思わずナツメを見つめた。
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