ナツメ
ポケットから鍵を取りだしてケースを開け、ナツメが子犬を抱き抱えた。

小さな生き物を大事に大切に優しく。


フラッシュバックする。


はじめて出会った時の自分だ。

ナツメは、わたしの鍵を開けてくれたのだ。

狭いところに閉じ込められていたわたしをナツメがあのキレイな手で救いだしてくれた。

「かわいいでしょう?」

朋子の声は聞こえないのに、ナツメの声だけが聞こえる。

まるで自分がその子犬の親であるかのようにナツメは誇らしげだ。
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