ナツメ
死にたいけど生きなきゃならないけど心も身体もそれを拒絶する。

すぐに吐気が込み上げたけれど、吐くことはナツメの指が許してくれなかった。

顎にかけた指に力を込めて、わたしの口を閉じさせる。

そのまま顎を持ち上げられ、顔を上向かされた。

チャーハンが唾液で滑り、どっと喉元へと押し寄せる。
気道も食道も閉塞される。

苦しい。
息ができない。
涙があふれた。

身体は危険を感じて、拒絶していたはずのチャーハンを飲み込むようにとわたしに命じる。
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