本気の恋の始め方
頭上から
ドアノブを握った手の上から
背中から
千野君の熱が離れていく。
頭がぼーっとして、なんだか体中にしびれが残ってるみたい。
「おやすみなさい……」
たどたどしくそう返事をしたら、彼はまたニコッと笑って、それから廊下を足早に歩いていく。
途中、一度振り返って、手を振ってくれた。
千野君。不思議なひと。
だけど、知れば知るほど
言葉を交わせば交わすほど
私……
まさかそんなわけない。
心の中で必死に否定するけれど、カアッと胸が熱くなる。
違う。
違う!
熱くなる頬を両手でパチパチと叩き、慌ててドアの中に滑り込んだけれど、いつにもまして今日は千野君のことばかり思い出して。
いつまでも胸のドキドキが収まらなくて、苦しい時間が続いていた。