本気の恋の始め方
「秘書室ゾーン」というのは、長い歴史の中で、本来自由に座ることが出来るはずの社食の席が、固定されてしまっているってこと。
ここは立ち並ぶ観葉植物の陰と壁に挟まれていて「秘書室勤務」の人たちの、絶好のおしゃべり場所なんだとか。
「っていうか、そこ、人がいらっしゃるじゃないですかっ……聞こえますよっ」
鮎子さんの三つくらい向こうの席に、姿勢のいい男の人がかけそばをつるると食べている姿が見える。
ここに座っているんだからもちろん秘書室の人なんだろうけど、クールで、なおかつ上品なタイプだった。
「五所野緒は私の直属の子分だから、いいの」
鮎子さんはちょっぴり自慢げに微笑む。
ごしょのお……?
どういう漢字を書くのかすらわからないけど。
子分って……。