本気の恋の始め方

私から見たら、鮎子さんの言動のほうがよっぽど問題ありだな、と思ったけれど黙っていた。

あとが怖いし……。



「あいつ、高校卒業したばかりなのよ。見えないわよね。なんだかじじむさいよね!」

「えっ!?」



高校卒業したばかり!?


綺麗な顔立ちをしていたけれど、落ち着いていてすごく大人っぽいから同じくらいかな、って思ったのに……。


鮎子さんはきれいにカツ丼を平らげた後、こめかみにほっそりした指を乗せてテーブルの上に肘をつく。


黙ってさえいれば、まるで一枚のポートレートのような彼女。
絵になる優雅さに思わず見惚れてしまう。



「五所野緒はね、高校在学中から働いてたんだけど、卒業と同時に秘書室に本採用になったの」



この、私が勤めている一ノ瀬ホールディングスは、世界のエクセレントグループとして名高い、超一流企業だ。

ありとあらゆる業種で成功し、傘下のグループは数百にも及び、世界中にその支社がある。




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