本気の恋の始め方
そんな一ノ瀬ホールディングスは、いっさいの学歴を条件としない。
優秀であればよしとする。
だから就職先としてすごく人気があるし、とにかく私が正社員として入社できたのは奇跡だと、親戚中に言われたものだ。
だけど高校在学中からって、よっぽどのこと。
少なからず、そんな話は私は聞いたことがない。
「在学中からって、信じられませんね……」
「会長が去年突然連れてきたのよ。『道で拾った』なんて、まるで捨て猫拾ってきた、みたいにおっしゃるから驚いたんだけど、実際どういう経緯でうちに来たかは、私の情報網を持っても不明なの」
不満げに、唇を尖らせる鮎子さん。
どうも自分の情報網に彼がひっかからないことに、かなり憤(イキドオ)りを感じているみたいだった。
「不思議なこともあるもんですねぇ……」
氷のように冷ややかで、クールなゴショノオさんの姿を思い出す。
あれで年下だなんて信じられない。
私の百倍はしっかりしていそう……。