本気の恋の始め方

「時間は大丈夫?」

「ああ。俺は直帰していいことになってるから」

「じゃあ向こうにティールームがあるの。そこでいい?」

「おう。噂の一ノ瀬ホールディングスのティールームだな?」



にっこりと笑うるうくん。

彫りの深い目じりに、少ししわが寄る。


笑顔って、何年経っても変わらないね。

胸がきゅうっと締め付けられてしまうよ。



並んで歩き始めると、廊下の奥に、さっきの打ち合わせのメンバーが談笑しているのが見えた。

その中にはもちろん千野君もいた。

彼はさらりとした栗色の前髪の奥から、じっと私を見つめていて。


言葉以上に物を言う彼の瞳に――


刺すような強い視線に足がすくみかけたところで

「潤……?」

隣を歩いていたるうくんが私の顔を不思議そうにのぞき込んできた。



< 131 / 446 >

この作品をシェア

pagetop