本気の恋の始め方

カラオケを出たすぐ裏道にはラブホテルが並んでいたのに、千野君はそこには入らず、私をタクシーに乗せてシティホテルへと向かった。


ホテルに着いたあとは、テキパキとチェックインの手続きをし、私の肩を抱いてそのままエレベーターへと乗り込み、降りたあとは手を引いて長い廊下を歩く。



本当に、しちゃうの……?


確かに無理にひっぱり込まれたわけじゃない。

私は流されてもいいと思って、ここに来たんだから――


戸惑いながらも、自分に言い聞かせながら恐る恐る顔をあげると、私の少し先を歩く千野君広いスーツ姿の背中が見えた。



「――」




ほんの数か月前までは学生だった千野君。


その、どこか初々しさを感じる背中にフッと記憶が甦る。


こんなふうに男の人の背中を見つめるのは、あのとき以来だ。



< 15 / 446 >

この作品をシェア

pagetop