本気の恋の始め方
カラオケを出たすぐ裏道にはラブホテルが並んでいたのに、千野君はそこには入らず、私をタクシーに乗せてシティホテルへと向かった。
ホテルに着いたあとは、テキパキとチェックインの手続きをし、私の肩を抱いてそのままエレベーターへと乗り込み、降りたあとは手を引いて長い廊下を歩く。
本当に、しちゃうの……?
確かに無理にひっぱり込まれたわけじゃない。
私は流されてもいいと思って、ここに来たんだから――
戸惑いながらも、自分に言い聞かせながら恐る恐る顔をあげると、私の少し先を歩く千野君広いスーツ姿の背中が見えた。
「――」
ほんの数か月前までは学生だった千野君。
その、どこか初々しさを感じる背中にフッと記憶が甦る。
こんなふうに男の人の背中を見つめるのは、あのとき以来だ。