本気の恋の始め方
私が短大に入学したと同時に、るうくんは社会人一年生になった。
毎日忙しそうなるうくんとは、没交渉気味になっていたけれど、それでもたまに理由を見つけては、るうくんの様子を両親から聞いたりしていた。
我ながら、みみっちいなって思うけどるうくんのことをすぐにはあきらめられないし、どうやったらあきらめられるのかもわからない。
ただ一方的に思いを募らせて、一目会いたいと思う気持ちばかりが募る日だった。
――――……
「潤。どうした?」
仕事から帰ってきたばかりのるうくんが、ネクタイを緩めながらマンションのドアを開けた。
「――これ、うちのお母さんが持って行けって」
大きなタッパーには、三木家特製のゴロゴロ野菜シチューが入っている。
毎晩遅いるうくんが珍しく早く帰ってきたのを察知して、お母さんが私に持たせたものだ。
「まじで!? ひっさしぶりだな、おばさんのシチュー」
るうくんはパァッと表情を明るくしてタッパーを受け取り、それから大きくドアを開けて私を玄関の中に招き入れた。