本気の恋の始め方

ベッドの上に座った彼女と、るうくんのマボロシが見える。


るうくんは、とても愛おしそうに、彼女を見つめて

彼女の顎先を指で持ち上げ

シャープな頬を傾けて――


それから……




「確かもらいもんのクッキーがあったけど……食うか?」



るうくんがカップを置いて、立ち上がろうとする。



その瞬間。私は何を考えているんだろうって、頭から冷水をぶっかけられたようなショックを受けて。

それからカアッと、火をつけられたみたいに全身が熱くなった。



「あ、いっ、いいよ……私、帰るからっ……!」

「潤?」



るうくんが突然の私の変貌ぶりに驚いたのか、目を見張る。



そんな彼の表情を見て、落ち着かなきゃって思ったけど、激しく混乱していた私はどうしてもそれが出来なかった。



「ごちそうさまっ!」



カップを床の上に置き、私は玄関を飛び出していた――。




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