本気の恋の始め方

「ほら、飲んで」



千野君はゆっくりと私を正面から抱き寄せ、改めてペットボトルを握らせる。


押されるまま私は一度ペットボトルに口をつけたけれど、水はのどをなかなか通っていかなかった。



「まぁ、それでね。俺、そんな感じで相当太ってて。かなりのいじられキャラっていうの? そういうタイプで……激しくいじめられてるわけじゃないんだけど、嘘の笑顔浮かべるのがつらくて、だんだん学校にも行きたくなくなってて……」



千野君にそんな過去があるなんて、考えたこともなかった。

私は呆然としつつも、彼の言葉の続きに耳を傾ける。



「学校に行きたくないときは、この近くのコンビニで時間つぶしてたんですよ」

「え……」

「潤さん、バイトしてたでしょ?」



いたずらを見咎められた子供みたいに

千野君はもう隠せないとクスッと笑う。




その瞬間。

突然過去の景色が脳裏によみがえった。




< 255 / 446 >

この作品をシェア

pagetop