本気の恋の始め方
「ほら、飲んで」
千野君はゆっくりと私を正面から抱き寄せ、改めてペットボトルを握らせる。
押されるまま私は一度ペットボトルに口をつけたけれど、水はのどをなかなか通っていかなかった。
「まぁ、それでね。俺、そんな感じで相当太ってて。かなりのいじられキャラっていうの? そういうタイプで……激しくいじめられてるわけじゃないんだけど、嘘の笑顔浮かべるのがつらくて、だんだん学校にも行きたくなくなってて……」
千野君にそんな過去があるなんて、考えたこともなかった。
私は呆然としつつも、彼の言葉の続きに耳を傾ける。
「学校に行きたくないときは、この近くのコンビニで時間つぶしてたんですよ」
「え……」
「潤さん、バイトしてたでしょ?」
いたずらを見咎められた子供みたいに
千野君はもう隠せないとクスッと笑う。
その瞬間。
突然過去の景色が脳裏によみがえった。