本気の恋の始め方
「ちょっと、こんなことっ……!」
誰かに見られたらって、慌てて彼を見上げたけれど
「こうすれば脱げないでしょ?」
千早はご満悦な様子でニッコリと微笑み、それからおでこに唇を寄せる。
「あー、潤さんのこと自慢したいって思って連れて来たけど、複雑だなぁ」
「千早ったら……」
なんていうのかな、こういうの。
女房の妬くほど亭主もてもせず、っていうのかな。
ばかばかしいと思いながらも、悪い気はしなかったりしてね。
そして新しく薄手のパーカーを羽織った千早に手をひかれて、別荘から海岸へと向かう。
「千早、こっちー!」