本気の恋の始め方
「CD持って来ればよかった。サインしてもらえたかもしれないのに……」
彼らはまだ大学生だけれど、その人気はすさまじいものがある。
千早にGuido Fawkesに連れていってもらったとき、彼らの演奏を聞いてから、彼らのファンになった私、ちまちまとCDを集めたりしている。
まさかここで、その主宰の御子柴律に会えるとは思わなかった私、ちょっとドキドキしたりして……。
「――そんなの、頼めばしてもらえますよ。さ、行きましょ」
千早はどうでもよさそうにそう言い放ち、私の手をしっかりと繋ぎなおすと、砂浜の上のBBQ会場へと向かった。
どうやらこのあたりは私有地にあたるらしく、メンバー以外他に誰もいない。
白い砂浜の上には、テントが張られ、思い思いにビーチバレーを楽しんだり、おしゃべりをしたりと楽しそうだ。
なんて贅沢なんだろう……。っていうか、みんなセレブに見える。