本気の恋の始め方
「赤と黒の蜘蛛は、要がいてこそ。そして俺は要の願いをかなえるために場を整えているだけ」
彼の言う「要」は赤と黒の蜘蛛の中心的存在である一柳要のこと。
彼のチェロやダンスは本当に聞くもの、見るものすべてを魅了する……。
一番近くにいる御子柴律こそ、一番の理解者なんだろう。
心底惚れこんでいるとしか思えない言葉に、私もうなずいた。
「ちなみに要の願いって?」
何気なく問いかけると、
「弱い人間の手を決して離さないこと。裏切らないこと」
「――」
はっきりと答えた御子柴律に一瞬言葉を失う。
だって『手を離さない、裏切らない』って、すごい宣言じゃない?