本気の恋の始め方
ここで手を握りあってるのはいくらなんでもマズイ。
酔っぱらってるならなおさら、水でも飲ませた方がいいかもしれない。
しかし私に声をかけるなんて、イケメンの考えることは理解出来ない……。
「ちょっと」
彼の手をそっと振り払い、カラオケルームを出て長く薄暗い廊下を歩く。
あとから千野君もついてくる。
「外は静かですね」
「そうね」
酔っぱらってるふうではない千野君は、しっかりした足取りでついてきた。
店内を飾る観葉植物の陰に隠れるようにして、私は千野君を手招きする。