本気の恋の始め方

彼は目を閉じず、長いまつ毛に囲まれた瞳を開けたまま、その目で妖しく微笑む。


じっと目を開けたまま、舌でなぞり、唇を割る。

下唇を吸ったあと、そのまま軽く歯を立てて、あまがみする千野君。



「んっ……」



や……ちょ……ええ!?


本気ってこういう意味の本気!?



その手慣れたキスに、軽くアルコールも入っているせいもあって足元がふらついた。


唇を外して

「ふふ。可愛い」

千野君はニコッと笑って、私を見下ろす。



「か、可愛いって!」



動揺して大きな声が出てしまった。



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