本気の恋の始め方
「なんで? 可愛いですよ」
背中を支えながら、千野君はそっと耳元でささやき、今度は耳たぶを唇で挟む。
ぞくぞくと足下から駆け上がってくる快感。
「やめっ……」
「やっぱり耳、感じるんだ。そうじゃないかなぁって思ってたんだ」
あなた、仕事中になに考えてるのよ、まじめに働きなさいよ!!
と、言いたいのに言い返せない。
だって千野君、新人の中でも飛び抜けて優秀だって、先輩たちが雑談で話しているのを聞いたことがあるし。
そんな千野君がなぜ!?
不本意だけど、なんだか嬉しそうな彼の言葉にドキッとしてしまった。