本気の恋の始め方
意地悪なんて。してるのは千野君よ。
「潤さん。大好き」
千野君の大きな手が、頬から、首、それから背中へと回り、私の上半身を引き寄せる。
あっと言う間に抱きしめられて、彼の腕の中。
「千野君!?」
「大丈夫。キスしたり、しないから。ぎゅってするだけ……」
俺たち、今のところ友達ですからね、とからかうような声が耳元で響く。
「友達はこんなことしないし、好きって言わないでしょ?」
「俺はスキンシップ過多なんで、するんです。言うんです」
ああ言えばこう言う千野君。
だけどやんわりと私を抱きしめた腕は優しくて……
きっと逃げようと思えば逃げられるはずなのに
スーツごしに伝わる体温
鼓動
手のひらの熱
全てにドキドキが止まらなくて、全身から力が抜けてしまう。