本気の恋の始め方
苦しい……心臓が壊れそう……。
彼は私を抱きしめたまま、ふと思いついたように
「潤さんがごぼうだったら、俺嫌わずに食べるんだけどなぁ」
なんて、こぼす。
私がごぼうだったらって。
それって食べるの意味が違ってない?と思いつつも、突き詰めて聞くと墓穴を掘ることになりそうだからやめた。
「ごぼう嫌いなの?」
彼に抱きしめられたまま、少し顔を上げると
「食べたことないんですよ。なんだか木の根っぽいじゃないですか」
真面目に眉をひそめている千野君の端正な顔が見えた。
ごぼう食べたことのない人っているんだ……。
「おいしいのに。きんぴらも、サラダも」
「野菜が好きじゃなくて」
「よくそれでそこまで大きくなれたよね」
と、変に感心してしまった。