ちよちよみちよ
幸一さんと僕は肩を並べて砂場を後にした。公園を出て、道端でぼんやりと光る『スナックみちよ』の看板を目指す。
偶然が偶然を呼んで、ギタリストのオヤジと僕は同じ夜風に吹かれて同じ場所を目指している。
なんか、変なの。
そして僕は自転車をひきながら考える。
もし、千代がみちよのような店を出して、それこそ『スナック千代』なんてベタすぎる看板を立てたりしたのなら、僕は毎日のようにそのあたりをウロウロして見張りなんかするんだろう。幸一さんのように公園で時間を潰して、砂場で山を作りながら千代のことを考えたりするのだろうか。『キモいオヤジがいる』なんて女子高生の間で噂になるのだ。そうしてサワヤカボーイのような男が千代を拐おうとするのなら、僕は姑息な手を使ってでも追い払ってやる。
あわわわわ。その光景はあまりにもリアルに想像できて、その上、寂しげな幸一さんの姿にダブったりして慌てる。
背中が悲しいぜ。
「タケイチ君も、好きな女の子、いる?」
「いますけど、今のとこ、ちょっとムリっす。好きなヤツがいるみたいなんすよ」
「狙うは粘り勝ちだよ。タケイチ君」