偏食家のテーブル
驚いたカナは、しかし起き上がる事ができずに、またシーツに潜り込んだ。よく考える事にした。あの後…ハルカと乾杯した後…ダメだ。思い出せない。
「…だけど、オマエがこんなに乱れるとは。知らなかったヨ」
猪野が何か言っていた。乱れる?ワタシが?
「…したの?」
「覚えてないの?マジかよ!…全然寝かせてくれなかったヨ」
なんて事だ。猪野はニヤついている。いやらしい。
「服とって!」
ハイハイという顔で、猪野は昨日のクラブ用のカナの服とブラとパンツを投げた。その間に、カナは周りを見回した。広い部屋だ。壁はコンクリートがうちっぱなしで、家具と呼ばれるモノが少ない。生活感がないオシャレな部屋だ。自分の頭の上を見ると、時計があった。針は二時を指していた。
「オレ、これから仕事あるから鍵しめて出て。」
「エッ!カギって?」
猪野はズボンをはきながら
「なんだよソレも覚えてないの?オレ達付き合う事にしたんだろ?それで、合鍵渡したじゃん!」
聞いていない。そんな話は。
「オレも彼女と別れたばっかだったし、だいたいオマエが告ったんだゼ!」
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