偏食家のテーブル

「エッ！」
カナは赤面した。確かに猪野の事をスキだった時期があった。しかし、実態の知れない会社を経営していたりして、まったく信用していなかった。そんな男に告白したのか？思い出そうとすると、昨日の酒が邪魔をする。
「アイタタタ」
「まだ寝ていろヨ。昨日はオマエら飲み過ぎてたから。」
なら、その話は無かった事にしろ！とカナは言いかけたが、まだ頭がうまく働かない。ツライ。
「じゃあ行ってくる。また夜にデンワする。」
猪野は部屋を出た。
その二時間後にカナは起きた。服を着てケータイを見た。すると、ハルカから膨大な数の着信が記録されていた。すぐにかけた。
「もしもし？」
「アンタ何ヤッてんの！」
またハルカに怒られた。
「付き合って初日に彼氏の部屋に行ってドースンの！」
「やっぱワタシ、猪野センパイと付き合ってんの？」
「エッ！そうじゃないの？マサト君とか言ってたヨ。」
あぁ、もう公認なのか…と、カナは諦めた。
「とにかく、早く帰りなさい！」
お母さんの口調でハルカが言った。
「はぁい」
娘の口調でカナが言った。