偏食家のテーブル

カナはその後、ハルカと家の大掃除となった。その間に、「アンタが猪野サンの事スキだったとは知らなかった」だの「どんな家だった？」だの、聞いてきた。カナはそれを適当に受け流し、雑巾を動かした。今日のカナはキレイ好きだった。
それからカナと猪野は本格的に付き合った。猪野のイベントには必ず行った。デンワは毎日かかってきた。できたばかりのショッピングモールで服も買ってもらった。それなりに始めは、充実した日々だった。だが、彼の仕事はわからないままだった。
わからないまま、カナは猪野と付き合い続けた。付き合っていくうちに、猪野は「いろいろ忙しいんだよ！」というのが口癖となった。釣った魚に餌をやらないタイプだった。
他にオンナがいるらしかった。会う日が少なくなり、デンワが減り、SEXが減ったから。が、カナは別れなかった。別れられなかった。カナはあの高校の事件以来、男と付き合っていなかったから、久しぶりの男の優しい腕に抱かれていたかったから。
そして、決意した。この男と居たかった。この男に抱いてほしかったから。その晩、
「ねぇ、いるんでしょ！他にオンナが！」