偏食家のテーブル
ソイツ(ユタカはその子をあまり好きではないらしい。)はヒガシにバイクの後ろに乗って、海に行きたいと言ったらしい。すると、どこからともなくこのバイクが出てきて、(おそらくヒガシの実家だろう)ユタカに整備の仕事がまわってきた。そんなことをユタカはカナに説明した。
「まったく動かなかったから少し心配なんだ…まぁ見れるトコロは全部見たから平気だとは思うケド…」
「で、今日はドコまで行くの?」
カナが言うとユタカは少し考えてから
「うーん、決めてなかった…ドコか行きたい所ある?」
急に行きたい所が出てくるほどカナはセレブではない。が、その時のカナは暑さもあったのか
「富士山!」
とバカげた発言が口からこぼれてしまった。それじゃ海より遠い。
「富士山…富士山ねぇ…」
ユタカは真剣に考えた。
「ウソうそ。遠いモン。」
カナは自分の思い付きを考えるユタカに申し訳ない気持ちになった。
「まぁいいや!乗って!」
とユタカが言うと、用意してあったもう一つのヘルメットをカナに渡した。ヒガシが買った彼女用のヘルメットだった。
「えぇー!ホントに行くの?」
カナはそこで答えの間違えに気付いた。
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