バイナリー・ハート 番外編


「十年早いわね。データを整えて出直していらっしゃい」


 そう言ってランシュの腕をギュッとつねった。


「いったぁ」


 腕の間から抜け出したフェティは、背中を叩いてランシュをせき立てる。


「ほら、悪ふざけはそのくらいにして、さっさと片付けて」
「わかったよ」


 フェティにつねられた腕をさすりながら、ランシュは渋々片付け作業に戻った。

 やはり子ども扱いされているようだ。

 器具を片付けながら、ふてくされたようにつぶやく。


「十年経ったらフェティはおばさんになってるよ」
「あなただって充分におじさんでしょ?」

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