花街妖恋
遊女の帯は長く、締めるのに力がいるため、男衆の手がいる。
今までは華龍楼唯一の男衆であるタツという爺が遊女の帯を締めていたが、タツもいい加減歳だ。
ちなみに名前からして、この爺が楼主であるのだろう。
九郎助が来てからは、もっぱら彼が帯を締めている。
「失礼する」
一声かけて、襖を開けた九郎助は、振り向いた玉菊に一瞬目を見張った。
化粧の途中であったのか、まだ髪も乱れたままだ。
単も多少着崩れているが、その様がまた、艶やかで妖しげな美しさだ。
「ちょっと待ってね。お化粧してしまうから」
そそくさと鏡に向かう背中を見つめ、九郎助は『そのままでも十分』と、心の中で呟いた。
今までは華龍楼唯一の男衆であるタツという爺が遊女の帯を締めていたが、タツもいい加減歳だ。
ちなみに名前からして、この爺が楼主であるのだろう。
九郎助が来てからは、もっぱら彼が帯を締めている。
「失礼する」
一声かけて、襖を開けた九郎助は、振り向いた玉菊に一瞬目を見張った。
化粧の途中であったのか、まだ髪も乱れたままだ。
単も多少着崩れているが、その様がまた、艶やかで妖しげな美しさだ。
「ちょっと待ってね。お化粧してしまうから」
そそくさと鏡に向かう背中を見つめ、九郎助は『そのままでも十分』と、心の中で呟いた。