雨夜の密会




「鳴海さん、仕事は?」


「ん?あぁ……。こら、動かないで!」



動く猫を必死に手で止めながら写真を撮る鳴海さん。




「ほら、前に話したでしょ?涼さんって趣味で店やってるって」


「うん」


「だから、仕事が入ってない日や、仕事の合間とか結構自由にさせてもらってるから真緒ちゃんは気にしないでいいよ」



鳴海さんはそう言って、また猫の写真を撮り始めた。


私はお玉で鍋の中をグルグルかき混ぜる。


箸で野菜を刺して柔らかくなったのを確認してルーを入れた。


部屋中にカレーの匂いで充満する。




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