雨夜の密会




「うまっ!」


「ホント?」


「うん。美味いよ!って、こらっ!夏!」



夏がテーブルの上に上ってきて、サラダのトッピングのハムを咥えた。



「こいつさぁ、人間の食べ物を欲しがるんだよね」



そう言って夏の口からハムを取る鳴海さん。


結婚してからこんな楽しい食事は初めてかも。


いつも会話もなく見えない壁で遮られた私と和臣さん。


サラダのハムを欲しがる夏。


それを阻止しようと必死な鳴海さん。



「真緒ちゃん?どうしたの?」



さっきまで笑顔だった鳴海さんの顔から笑顔が消えて、私の顔をジッと見ていた。




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