雨夜の密会




「喧嘩でもした?」


「えっ?」


「いや、元気ないからさ」


「喧嘩はしてないよ」



喧嘩するほど夫婦仲は悪くないって言うか会話もないから喧嘩にならないだけだけど。



「そっか……」



鳴海さんはそう言って、一眼レフカメラのファインダーを覗き、空を見上げた。


“カシャ”


シャッター音が響く。



「あの雲、ウサギに見えない?」



鳴海さんが空を指差した。


指差す方を見ると、丸いフワフワした雲に長い雲が伸びていて、鳴海さんが言うようにウサギに見える。



「ホントだ」


「曇って面白いよね。あれはパンに見えるし、あっちは何だろう?亀かな?でもこの雲の形はその時だけで、もう二度と同じものは見れないんだよね」



子供のようにはしゃぐ鳴海さんは次から次へと雲の写真を撮っていく。




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