雨夜の密会



鳴海さんみたいな人と結婚したら幸せになれたのかな。


笑顔の絶えない家庭を築く事が出来たのかな。


って、私、何考えてるんだろ。



「ねぇ、真緒ちゃん?」


「ん?」



鳴海さんが一眼レフカメラを膝に置く。



「結婚の決め手って何だったの?」


「えっ?決め手?」


「うん。この人と結婚したいなぁと思った理由?」


「そんな事聞いてどうするの?」


「うーん……。何となく?聞いてみたかっただけ」



鳴海さんはそう言ってクスッと笑った。


私は鳴海さんにお見合いの席でのエピソードを話した。



「おんぶしてもらってる時に、この人と結婚出来たらなぁと思って……。最初は乗り気じゃなかったんだけどね」


「へぇ……」



あの頃には、こんな事になるなんて思ってもなかった。





< 12 / 139 >

この作品をシェア

pagetop