雨夜の密会
鳴海さんみたいな人と結婚したら幸せになれたのかな。
笑顔の絶えない家庭を築く事が出来たのかな。
って、私、何考えてるんだろ。
「ねぇ、真緒ちゃん?」
「ん?」
鳴海さんが一眼レフカメラを膝に置く。
「結婚の決め手って何だったの?」
「えっ?決め手?」
「うん。この人と結婚したいなぁと思った理由?」
「そんな事聞いてどうするの?」
「うーん……。何となく?聞いてみたかっただけ」
鳴海さんはそう言ってクスッと笑った。
私は鳴海さんにお見合いの席でのエピソードを話した。
「おんぶしてもらってる時に、この人と結婚出来たらなぁと思って……。最初は乗り気じゃなかったんだけどね」
「へぇ……」
あの頃には、こんな事になるなんて思ってもなかった。