雨夜の密会
鳴海さんはTシャツにカーディガンを羽織り、財布とスマホを持った。
「じゃあ行って来る」
「うん」
私は鳴海さんについて玄関まで行った。
「鳴海さん?傘……」
「あ、うん。ありがとう」
玄関に立て掛けてあった紺色の傘を鳴海さんに渡した。
鳴海さんは、それを笑顔で受け取る。
玄関を開けると、激しい雨音が聞こえてきた。
「うわぁ!すげー降ってるよ」
鳴海さんは空を見上げそう言った。
「気を付けてね」
「うん」
鳴海さんに笑顔を見せる。
鳴海さんも私に笑顔を見せた。
“バタンーー”
玄関の閉まる音が響く。
なぜか胸がキューと苦しかった……。