雨夜の密会



鳴海さんはTシャツにカーディガンを羽織り、財布とスマホを持った。



「じゃあ行って来る」


「うん」



私は鳴海さんについて玄関まで行った。



「鳴海さん?傘……」


「あ、うん。ありがとう」



玄関に立て掛けてあった紺色の傘を鳴海さんに渡した。


鳴海さんは、それを笑顔で受け取る。


玄関を開けると、激しい雨音が聞こえてきた。



「うわぁ!すげー降ってるよ」



鳴海さんは空を見上げそう言った。



「気を付けてね」


「うん」



鳴海さんに笑顔を見せる。


鳴海さんも私に笑顔を見せた。


“バタンーー”


玄関の閉まる音が響く。


なぜか胸がキューと苦しかった……。




< 117 / 139 >

この作品をシェア

pagetop