雨夜の密会
「あっ!そうだ!真緒ちゃんにいいもの見せてあげる」
「いいもの?」
「こっち来て?」
鳴海さんはベンチから立ち上がり、私の手を握った。
久しぶりに誰かに手を握られ胸が“ドクン”と鳴る。
温かい鳴海さんの手。
私の手を力強くグイグイ引っ張っていく。
公園の花壇の奥、草むらをかき分け入っていく。
「わぁっ!」
「シー!」
鳴海さんが私の方を向いて、唇に指を当てるポーズを取る。
私は思わず自分の手を口に当てた。