雨夜の密会




「この写真の人は俺の彼女だよ」



やっぱり……。



「でも、葵はもういないんだ……」


「えっ?」



いない?


どういうこと?



「死んだんだよ。5年前にね」



鳴海さんはそう言って力無く笑った。


私はそう聞いて、なんて声をかけていいのかわからなかった。



「俺、彼女が死んだ時に、もう二度と人を愛さないって決めたんだ……」



それって……。



「…………まだ、彼女を愛してるから?」


「そうだね」



鳴海さんはそう言って微笑む。


じゃあ、何で……。


何で雨の日に私と一緒にいてくれるの?




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