雨夜の密会
別に鳴海さんから愛されてるわけじゃない。
好きも愛してるの言葉もない。
雨の日だけ許された関係。
だけど、忘れられない恋人がいて、その恋人を今でも想い続けてる鳴海さんは、なぜ私と一緒にいてくれるの?
そんな思いが頭をグルグル回る。
だけど答えなんて出てこない。
「鳴海さん?」
「ん?」
「鳴海さんは、どうして雨の日に私と一緒にいてくれるの?」
私は鳴海さんにそう聞いてみた。
「何でだろうね……」
窓の外に目を移す鳴海さん。
「真緒ちゃんが雨の日は嫌いだって、寂しいって言ってたから、俺と一緒にいることで少しでも寂しさが紛れたらと思ったからかな……」
鳴海さんは窓から私の方に目を向けてそう言うと、寂しそうに笑った。