雨夜の密会




「とりあえず中に入って座ったら?」



叔父さんの言葉に私は店の中に入り、カウンター前に置いてあった椅子に座った。



「コーヒーでも飲む?」


「ううん……いらない……」



叔父さんは私の言葉を聞いて、カウンターの中に入るとカウンターに置いてあったカメラを手に持って、それを掃除し始めた。



「鳴海くんと雨の日に会ってるんだって?」


「えっ?」



叔父さん、知ってたんだ……。


だから私がここに来た時に、あんな事を聞いてきたんだ……。



「鳴海くんが、雨の日は仕事を昼で帰らせて欲しいって言ってきてね。理由を聞いたら雨の日は真緒と会う約束してるって」


「うん……」


「真緒は昔から雨が嫌いだったもんな。お空が泣いてるって言って」



叔父さんはカメラを磨きながらそう言ってクスッと笑った。



「そんなこと言ってたっけ?」



自分でも忘れてるような事を叔父さんはよく覚えてるな。



「言ってたよ。俺が雨の日に兄貴の家に遊びに行ったら、そう言って俺にギュッて抱きついてきて。可愛かったなぁ」



私は叔父さんっ子で、叔父さんが家に遊びに来た時には嬉しくて、ずっと側を離れなかった。


叔父さんが帰る時には大泣きしてたっけな。


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ーお知らせー

藍田涼一(真緒のおじ)を
伯父→叔父に変更しました。




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