雨夜の密会
玄関が開く。
緊張感が走る。
結婚して半年、和臣さんが帰って来ると、いまだに緊張感で身体が強張る。
「お、おかえり、なさい……」
「うん……」
目を合わせない和臣さん。
靴を脱いで玄関を上がり廊下を歩く和臣さんの後ろをついて歩く私。
リビングに入り、カバンをソファに置いてネクタイを緩める和臣さんの姿を見て、胸が“トクン”と跳ね上がった。
「和臣さん?晩ご飯の用意出来てますけど……」
「食べて来たからいい。風呂入って来る」
「はい……」
スーツの上着を脱いで、ネクタイを外した和臣さんはそれをソファの上に置いてリビングを出て行った。
晩ご飯、無駄になっちゃったな……。
そんな事を思いながら、私は和臣さんのスーツの上着とネクタイを手に持ち、リビングを出て寝室に行った。