雨夜の密会



1人で食べる晩ご飯。


味なんてしない。


向かい側には和臣さんのご飯。


お揃いのお茶碗とお箸。


友達が結婚祝いにプレゼントしてくれたもの。


和臣さんのは数える程しか使ってない。


リビングのドアが開き、お風呂上りの和臣さんが入って来た。


ご飯を食べている私の横を通り過ぎ、キッチンに行き冷蔵庫から缶ビールを取り出して、それを持ってリビングに行く。


会話なんてない。


ダイニングテーブルにあるご飯を見向きもしない。


ソファに座り、缶ビールを飲みながらノートパソコンを使っている和臣さんの背中を見る。


同じ家に暮らしているのに会話もない。


まるで見えない壁があるみたいだ。




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