雨夜の密会



次の日。


和臣さんは、やっぱり朝食には全く手を付けずに仕事に行ってしまった。


掃除洗濯を済ませ、買い物に出掛ける。


買い物が終わって、あの公園に差し掛かった時、ふと鳴海さんの言葉が頭に浮かんだ。



『また写真館に遊びにおいでよ』



私は公園を通り過ぎ、ケーキ屋に寄りケーキを買って懐かしい叔父さんの写真館へ行った。


商店街の中にある小さな写真館。


レトロな外観で『藍田写真館』と書かれた青銅の看板。


表のショーウィンドーには写真が飾られている。


七五三、結婚式、入学式。


その中に、私と和臣さんの結婚式の写真も飾られていた。


白無垢の私と袴の和臣さん。


笑顔の私と無表情の和臣さん。


この頃は今の生活が想像出来なかった。




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