雨夜の密会



今日は土曜日で出来たばかりだからか、水族館は沢山の人で賑わっていた。


館内に入ると、正面にメインの水槽がある。


壁一面、水槽になっていて、いろんな魚が気持ち良さそうに泳いでいた。


少し人が捌けるのを待ってから水槽の前まで行く。



「綺麗……」



大きな水槽を見上げ、自然と口からそんな言葉が出た。


“カシャ”とシャッター音がして、そちらに目を向けると、鳴海さんが一眼レフカメラのファインダーを覗いていた。


また“カシャ”とシャッター音がする。


鳴海さんは一眼レフカメラを下ろすと笑顔を見せた。



「鳴海さん?」


「ん?」



鳴海さんが隣に来る。



「次は私が鳴海さんを撮ってあげるね」


「えー!」



驚く鳴海さん。


私はカバンからスマホを取り出して、カメラを起動して鳴海さんから少しだけ離れた。


水槽を見上げる鳴海さんの横顔を撮った。



「ほら、撮れたよ」



私は鳴海さんの隣に戻り、スマホで撮った写真を見せた。



「よく撮れてるね」



鳴海さんはそう言って、頭をポンポンとしてきた。


さり気ない行動に胸が高鳴る。


“ドキドキ”と煩いくらいに。




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