雨夜の密会



出口から外に出る。


あれだけ沢山の車が停まってた駐車場は、車もまばらになっていた。



「海、見に行かない?」


「えっ?でも時間……」



確か、夜に仕事が入ってたよね?



「まだ大丈夫だから。行こう?」


「うん……」



水族館の裏は海で、夏は海水浴が出来るようになっている。


静かな波の音が聞こえ、夕日に照らされた海はオレンジ色にキラキラ輝いていた。


私と鳴海さんは浜辺に下りる階段の途中に並んで座る。



「今日はありがとうね」



私は隣に座っていた鳴海さんにそうお礼を言った。



「…………ゴメン」



鳴海さんは海を見たまま、呟くようにそう言った。



「鳴海、さん?」


「ゴメン、ね……」



何で謝るの?


私は鳴海さんが何で謝るのかがわからなかった。




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