雨夜の密会
「無理矢理、連れて来たみたいになっちゃって、旦那さんに怒られちゃうな」
「そんな事ない!」
私は思わず叫ぶようにそう言ってしまった。
「真緒ちゃん……」
「あ、ゴメンなさい……。そんな事ないよ。楽しかったし」
「そっか」
「うん」
もし、和臣さんと来ていたら……。
鳴海さんと一緒に来た時のように笑い合って、心から楽しめなかったかもしれない。
「真緒ちゃん、写真撮ってあげるよ」
「えー!」
「いいから、そこに立って?」
鳴海さんはその場に立つと、私の手を握りそのまま引っ張って私を立たせた。
階段を下りて、浜辺に立つ。
「こっち向いて?」
一眼レフカメラを構えた鳴海さん。
「笑って?」
私は笑顔を作った。
自然に出た笑顔。
それを鳴海さんはカメラに収める。
「凄くいい写真が撮れたよ」
「ホント?」
「ほら」
私は鳴海さんの隣に立って、カメラの液晶部分を見た。