雨夜の密会




「やっぱシャンプーしないとダメだな」



ある程度の汚れは落ちたけど、でも完璧に綺麗にはなってない。



「あと、ご飯もいるし、トイレと……」



鳴海さんは独り言を呟くように言ったあと、私の方に向いた。



「真緒ちゃん?」


「ん?」


「これから買い物に行って来るから、留守番頼んでいい?」


「えっ?」


「…………あ、ゴメン。また変なこと言っちゃったな」



鳴海さんはそう言って少しだけ笑った。



「人妻に言う言葉じゃないよね」


「あ、大丈夫だよ。私、お留守番してるから……」


「本当に?大丈夫?」


「うん」


「じゃあ、ちょっと行って来るね。なるべく早く帰って来るから!」


「うん」



鳴海さんは靴を履くと、玄関から出て行ってしまった。


私はそのまま猫の側にいて、仔猫の頭を撫でていた。




< 52 / 139 >

この作品をシェア

pagetop