雨夜の密会
「やっぱシャンプーしないとダメだな」
ある程度の汚れは落ちたけど、でも完璧に綺麗にはなってない。
「あと、ご飯もいるし、トイレと……」
鳴海さんは独り言を呟くように言ったあと、私の方に向いた。
「真緒ちゃん?」
「ん?」
「これから買い物に行って来るから、留守番頼んでいい?」
「えっ?」
「…………あ、ゴメン。また変なこと言っちゃったな」
鳴海さんはそう言って少しだけ笑った。
「人妻に言う言葉じゃないよね」
「あ、大丈夫だよ。私、お留守番してるから……」
「本当に?大丈夫?」
「うん」
「じゃあ、ちょっと行って来るね。なるべく早く帰って来るから!」
「うん」
鳴海さんは靴を履くと、玄関から出て行ってしまった。
私はそのまま猫の側にいて、仔猫の頭を撫でていた。