雨夜の密会



ここに来た時には小雨だったのに。


私は立ち上がり窓の外を見つめた。


ザーザーと激しい音を立てながら降る雨。



「真緒ちゃん?どうしたの?」


「えっ?…………うん」



私が振り向くと、コーヒーをリビングのテーブルに置いている鳴海さんと目が合った。


また窓の外に目を向ける。



「真緒ちゃん?」



鳴海さんが私の隣に立った。



「雨、激しくなったね……」


「うん……。私、雨は嫌い……」


「昨日もそんなこと言ってたよね?」


「うん……」



昔は雨は嫌いではなかった。


でも、いつからだろう……。


雨が嫌いになったのは……。




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