雨夜の密会



カーテンを開けると、昨日の雨が嘘のような青空が広がっていた。


猫たちのご飯を用意して、自分用のコーヒーを淹れて、ソファに座った。


テーブルの上に置いてあるスマホを取り、涼さんに電話した。



『もしもーし!』



相変わらず朝からテンション高い涼さん。


笑いが込み上げて来るのをグッと我慢する。



「もしもし、涼さん?鳴海です。おはようございます」


『おぉ、鳴海くん。どした?』


「今日、午前中、休みもらってもいいですか?」


『うん、いいけど。何があった?』


「今日、葵の月命日だから……」


『あ、そかそか。まぁ、店も暇だしな。午前中と言わずに1日休んでもいいぞ?思い出に浸って来い!』


「いや、俺、今日は午後から撮影入ってるんで」


『そうだっけ?』



そうだっけ?って。


涼さんが仕事の依頼を受けたんでしょうが。



「そうですよ。だから撮影には間に合うように行きますから」


『了解』


「じゃあ」



スマホの通話終了を押して、テーブルに置いた。


マグカップに注がれたコーヒーを一口飲む。


ソファから立つと、リビングを出て寝室に行った。




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