雨夜の密会
「キミ、高校生?」
女の子とベンチに並んで座っていた。
「沢田 葵(サワダ アオイ)」
「えっ?」
「私の名前」
「沢田さんは高校生?」
「葵!」
「名前で呼んで欲しいの?」
「うん」
葵ちゃんはそう返事をすると、目を閉じて空を見上げた。
横顔をチラッと見る。
長い髪が風で揺れて、綺麗な顎のラインが見え、胸がドクンと高鳴る。
「こうやって目を閉じると空を飛んでる気分」
不思議な子。
時々、大人びた表情を見せるのに、言動はどこか子供っぽい。
「こんな天気のいい日に学校行くのがバカらしくなっちゃって、だからサボっちゃった」
葵ちゃんは目を開け、俺の方を見るとそう言ってクスクスと笑っていた。