Realtime:kiss
ふと、奈津紀と陽子に目をやると、ふぅ~んって感じの、ちょっと冷たい目で見られた。
く、くそおぉ・・・
「とりあえず、自己紹介、しようか。
陽子ちゃんは里中とは一度会ってるよね?」
え?そうなの?
私は陽子を見た。
しかし、いつもの通り、涼しい顔して、向かいに座る里中君とやらに笑いかけている。
「奈緒ちゃん?」
「はっ、はいぃ」
声をかけられ、ビックリして、咬んじゃったよ、あたし・・・
「奈緒ちゃんは初めてだよね?こいつ、里中雄馬、ほら、雄馬」
「里中です。初めまして。25歳です、山中さんにはお世話になってて…」
「里中、お前硬いって、もっと肩の力抜け」
セクハラ野郎が突っ込む。
私はそれを無視して、「咲宮奈緒です、こちらこそ、初めまして」当たり障りのない挨拶をした。
「蒼佑、俺は碕岡蒼佑だ」
山中さんが紹介する前にセクハラ野郎が名乗った。
私はどうもと、全くどうでもいいような挨拶をした。
「ぷっ、奈緒ちゃん、最高。奈津紀、見て見ろよ、蒼佑のあの顔・・・」
「やっ、ヤバくない?けど圭吾、あたし、蒼佑君のあんな顔初めて見たかも」
そんな会話が交わされてるとも知らない私は、「すいませぇん!メニュー頂けますぅ?」
なんて、呑気に店員さんに声をかけてた。
「良い度胸してんじゃん・・・」
目の前のセクハラ野郎が呟いた事も周りの音にかき消されて私の耳には届かなかった。